シートを敷くだけでシロアリ対策ができるターミダンシートですが、デメリットもあるので解説していきます。
ターミダンシートのデメリット
購入費用がかかる
新築時に、標準でターミダンシートを施工する業者・ホームメーカーはあまりないと思います。なので、別途ターミダンシートを購入することになるので、どうしても購入費用・施工費用がかかるデメリットがあります。
ただ、このターミダンシートで長期的なシロアリ予防ができます。35年の予防と考えると高く見ても360円/月ぐらいの費用です。
ターミダンシートは新築時にしか施工できないシロアリ予防対策です。シロアリ被害がでてからの施工はできません。
シロアリ保証がついていない。
多くの人が気になるデメリットに、「ターミダンシートにシロアリ保証がついてない」があります。以前はシロアリ保証を付けれましたが、制度の変更などにより、現在の保証は木部に防蟻処理を行った物件だけが保証対象となっております(*1)。
多くの工務店やメーカーが建てている長期優良住宅の場合、住宅基礎から1mないし1.5mまでの木部(柱・土台など)に防蟻処理を施さなければならないと聞きます。多くのハウスメーカーが行っている木部の防蟻処理にはシロアリ保証が付きますので、ターミダンシートは木部の防蟻処理にプラスしたシロアリ予防対策と考えてください。
*1:ターミダンシート施工で被害が出たために保証がつけれなくなったわけではありません。
ターミダンシートをしっかり施工できない可能性
ターミダンシートの性能を理解していない業者が施工をすることで、シロアリの侵入する隙間を作ってしまうかもしれないデメリットがあります。
ターミダンシートは新築住宅の基礎下に敷くだけの簡単な施工方法ですが、基礎をシートで隙間無く敷く必要があります。ただ敷くだけではなくシートとシートの間を専用のターミダンテープで貼り付けて隙間を無くす必要があります。基礎から配管が出ている場合は、目地に防蟻フォームで埋めて塞ぐことが必要です。
ターミダンシート自体は防蟻効果の高い製品であっても、施工業者側が性能を理解していなかったため、シロアリの侵入する隙間を残してしまうことがあるので、ターミダンシートを使用する場合は、施工者にパンフレットを渡すなどして、しっかり施工してもうことが大事です。
ターミダンシートのメリット:シロアリ対策と防湿効果
シロアリ対策には、シロアリ予防とシロアリ駆除の2つありますが、一番大事なことはシロアリを家に寄せ付けない「シロアリ予防」です。
新築直後から数年の間は設備も新しいのでシロアリが侵入してくることはほぼありません。ですが、経年劣化で水漏れが起こったり、住宅外部環境が変化(落ち葉がたまる・草が生える等)することで、シロアリが住みやすい環境ができてきます。特に周囲に朽ちた木材や小屋などある場合は要注意です。
シロアリ被害が出る環境は必ず湿気がある、もしくは湿気があった場所です。つまり湿気を建物にためないことが最大のシロアリ予防になります。ターミダンシートは建物基礎下部の湿気を防ぐ役割と、シロアリ自体を寄せ付けない薬剤を使用し、長期的にシロアリ予防します。
ベタ基礎だとシロアリの侵入は防がれる?
新築住宅を建てる場合、最近はベタ基礎が主流なので、「地中からシロアリが来ない。コンクリートがシロアリの侵入を防いでくれる」と思われる方も多いですが、基礎コンクリートの劣化によるひび割れ・欠損が生じ、シロアリの侵入経路となる可能性もあります。
また、基礎コンクリートの施工不良によりジャンカ(コンクリート内部に空気が入り隙間ができる現象)ができる場合もあります。
なので、「ベタ基礎だから大丈夫!」と思い込まず、ターミダンシートを施工することで長期的に基礎下からシロアリの侵入を防ぐことも検討ください。
ターミダンシートを施工しない場合のデメリット
ターミダンシートを施工しない場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか。その答えがコンクリートの長期強度の差です。
基礎コンクリートの長期強度は施工業者の施工方法や施工技術によってかなりの差が生じます。ターミダンシートを施工しない場合、下記施工が適切におこなわれていない場合、シロアリ被害に合う可能性が高まります。
- 基礎工事の根切り(必要な地盤の深さを確保すること)時に根切り底を傷めない、木や木の根の処理、地盤の状態(水が出ていない、くしゃくしゃになっていない)が良好であるなどの確認ができている
- 基礎砕石(基礎コンクリートの下地)が設計厚が保たれており、均一に敷き込まれている。
- 基礎砕石が振動ローラ(1t)で設計密度になるまで転圧されている。
- 基礎コンクリート施工時の生コンクリートが適切な配合で適切な気温時に施工されている
・配合は設計書に記載されています。施工時に業者が施工を容易にするために加水する場合があり、適切な量以上に加水した場合長期強度の影響を及ぼします。
・施工時の気温が4度以下の場合、生コンクリートの硬化が鈍くなるため養生を施し寒さを防ぐ、猛暑の場合、打ち水などを施し急激に生コンクリートが乾かないように対策する必要があります。 - 生コンクリートは適時バイブレータを使用し生コンクリート内の空気を抜く必要があります。空気を適時抜かないとジャンカができます。
①~⑤の施工が適切におこなわれない場合、長期強度が出ず、クラックや欠損に繋がり、シロアリが侵入する可能性が高まります。このようなことが起こった場合、ターミダンシートが敷いてないとシロアリ被害が発生してしまうかもしれません。